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Kichi’s Universe吉の物語

すると出てきたフォックスアカデミー長は、吉に冷たくこう言いました。
「私たちは君を助けるつもりはありませんよ。
君のおじいさんは、私たちキツネの名前に、もう十分なダメージを与えたではありませんか。
君たち一族のおかげで、悪いワインのことを『狐臭い』なんていうようになったんだから。」
またしても邪険にされ、拒絶された吉は悲しくなりました。
「誰も僕を必要としてくれないし、誰も僕を理解してくれない」
ワインの夢を追いかけるチャンスもなく、吉はひとりぼっちで森の奥深くに逃げ込むことしかできませんでした。
しょんぼりする吉
悲しみに暮れ、疲れ果ててしまった吉がある夜寝て
いると、突然ささやくような声が聞こえました。
「吉。仏陀山の頂上へ行きなさい。そして神の力を借りるのです。」声は言います。
吉は夢かと思い、またすぐに眠りにつきました。

すると、遠くに見える仏陀山の頂上から天に向かって真っ白な光の柱が伸びているではないですか。
吉はすかさず前足で腹のあたりをかすめながら、全速力で走り始めました。

走る吉
小川を渡り、岩を飛び越え、棘のある茂みを駆け抜けます。
仏陀山に近づくにつれ、光は明るく強くなりました。
いったい何時間経ったのでしょうか、夢中に駆け続けて吉はやっ
と頂上にたどり着きました。
息は絶え喉は渇き、それでも周りを見渡してみると、吉は不思議
な光を間近に見ました。

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